<唾液(だえき)>

 ツバの働きってご存知ですか?
 ツバは「臭い」なんて事だけでなく、口の中でイロイロな働きをしています。
どんな働きをしているかというと、
【唾液の働き】
1) 消化作用:唾液中の酵素でデンプンをマルトースに分解する。
2) 溶解作用:味物質を溶解して味覚を促進させる。
3) 洗浄作用:食べ物のカスを洗い流す。
4) 円滑作用:発音や会話をスムーズにする。
5) 抗菌作用:抗菌作用を持つ物質で病原微生物に抵抗する。
6) pH緩衝作用:pHを一定に保ち細菌の繁殖を抑える。
7) 保護作用:歯の表面に皮膜を作りムシ歯を防ぐ
 こんな働きをしています。

 また、唾液の中には以下のような細菌に作用する物質が含まれています。
【細菌に作用する唾液中の物質】
1) リゾチーム  細菌の細胞壁に作用し分解させることによる抗菌効果がある。
2) ペルオキシターゼ  活性酸素を撃退する。発がん性物質の毒性を薄める効果がある。
3) ラクトフェリン  ラクトフェリン(乳+鉄:の意味)は細菌が生きていくために必要な鉄分 を奪うことによる抗菌効果がある。
4) 免疫グロブリン
 (おもにIgA)
 細菌の凝集、ウイルスの中和、細菌が細胞への付着を防止する作用がある。  

 そのほか、消化酵素としてはデンプンを消化するアミラーゼ、 タンパク質を消化するプロテアーゼなどが含まれており、食物とよく 混ざることで胃や腸での消化を補助しています。さらに、歯をコーティングして 歯周病から守るヒスタチン、骨や筋肉を丈夫にするパロチン、 上皮成長因子EGF(粘膜の傷の修復)、神経成長因子NGF (老化防止の働き:アルツハイマーに効果?)など、じつに様々な物質が含まれて います。

 こんなにすごい働きがある唾液ですが、分泌される過程で自律神経の影響を受けます。
 神経の作用によって、分泌量や性質も変わり、
  • 交感神経が刺激されるとネバっこい唾液が、
  • 副交感神経が働くとサラサラな唾液
  • 出ます。
【良い唾液】【悪い唾液】
・漿液性の唾液(サラサラの唾液) ・粘液性の唾液(ネバネバの唾液)
・分泌量が多い ・分泌量が少ない
・pHが中性〜弱アルカリ性 ・pHが酸性  

・「口を開くとツバが糸を引く」
・「口を開くとクチャクチャ音がする」
・「口の中がネバっこい感じがする」
・「口の中が乾き気味」
・「口臭を指摘される」

【ネバネバ唾液は要注意!】

 唾液の分泌量が少なく口の中が乾いた状態(交感神経の興奮・運動・加齢・疾患・薬・放射線治療etc.)では歯肉や舌や粘膜に炎症を起こし易く(口臭の原因に)なりますし、ムシ歯や歯周病を容易に悪化させる可能性があります。