<根の治療>

 ムシ歯が深くなって歯の神経まで行ってしまって「持続的な痛み」が出たり、昔治療した歯の付け根にウミが溜まって「腫れたり、鈍痛が出たり」した場合は、歯の根の治療(根管治療)が必要になります。

<治療方法>

 削って歯に穴をあけ、根の中に入っている神経(または古い治療物)を取り除き、消毒します。
 歯の根の周りの骨にウミが溜まり始めている場合、回数をかけて十分に消毒しないと再発する恐れがあります。
  • 歯肉に腫れが出て来てしまった場合は、歯グキを切ってウミを出す事が有ります。 これは切開を入れることで減圧し、ドッと膿が出て楽になるからです(熟した時に切開しないと、痛いだけでウミが出ない)。
  • 骨の中にウミの玉(歯根膿胞:しこんのうほう)が出来ているときは、歯グキを開けて骨から膿胞を掻き取ることもあります。
  • ”根管治療”だけで歯根膿胞も治そうとすると、半年以上かかる場合も有ります。
  •   根管治療は基本的には痛みが取れ、腫れも引き、ウミが完全に消えたら根の治療を終了(根の中を完全密閉)します。
  •  根の治療が終わったら、内部補強のための土台を立てて、冠を被せる準備に移ります(ここから先は”ほてつ治療”です)。

<歯の根の治療中の症状について>

 根の周りの骨(歯槽骨)に炎症がくすぶっている場合は、消毒薬に反発して急に痛みや腫れが出たり、なかなか治まらない事があります。
 その場合、まず弱い消毒薬で刺激しないようにする(なだめすかす)方法や、ウミがとんでもない場合は消毒よりもウミを先に出してしまったりします。その場合は、当然ですがウミが収まった時点から消毒再開になりますので、そのぶん治療回数もかかってしまいます。
 炎症がひどい場合は、抗生剤や痛み止めを飲んでいただきます。
 炎症が収まって消毒を再開したら、今度は治療中(治療時だけでなく日常的に)ダ液や食べカスが根の中に入り込まないように、セメントでしっかりフタをします。
 状態を見ながら少しづつ消毒作用の強い薬に変えて行きますが、カゼを引いたり疲れがたまったり体調が悪くなると、炎症がぶり返してしまうこともあります。
 完全に症状が消えて歯の根の治療が終わるまで気を抜かずに通院してください。
 最悪なのが、”痛みが消えたから”と途中で治療を中断しちゃうパターンです。
 根の中は完全密閉して終わりなのに、途中だと薬を浸した綿が根の中に入っているだけで、1〜2週間で薬の効果が切れますので、逆にウミを根の中に吸い上げて増殖させます。で、歯が全部ボロボロになって抜歯せざるをえないという事があります(あのときちゃんと終わらせておけば、抜かずに済んだのに)。

 さて、終わらせるパターンですが・・・
  • 歯を叩いても痛みが出ない
  • 根の中から腐敗臭がしない
  • 根の中からウミや出血がない
  • 歯に違和感を感じない
 で大体ととのった状態になりますので、根の治療を終了させます(根管充填:こんかんじゅうてん)。
注):根の治療中にどうしても「飛行機に乗る」、「高山に登る」、「潜水する」など気圧の変化がある場所に行く予定の方は、かならず予め言ってください。
 普通の消毒でセメントを被せただけだだと根の中に空気が存在するため、気圧の変化で歯が痛む場合があります。