<抜歯(ばっし)手術>

 C4のムシ歯では、その歯を残す事がほとんど不可能な状態まで歯の崩壊が進んでしまった状態です。「ムシ歯治療」のページにも書きましたが、抜歯の対象となります。
 抜歯はご存知のように外科手術なので、
  • 血管収縮薬を含む局所麻酔薬を注射する
  • 歯と骨を繋ぎとめている線維を断裂させる
  • 歯の根をこじって、骨から脱臼させる
  • 歯を抜く
 という術式ををおこないます。抜いたあと出血し、麻酔が切れると痛みがあります。
※髪の毛を切りに行くのとは訳が違うので、麻酔等劇薬を使う処置にお子様ひとりでの来院はご遠慮ください
  • 歯を抜くと、まず抜いた穴に血が溜まってきて、穴を塞ぎます(キリ傷ではなくエグレ傷のため)。
  • 溜まった血が固まり始めて、抜歯後1日位でゼリー状の血餅(けっぺい)となって傷口を塞ぎ、抜けた穴を中から修復し始めます。
  • 1週間位経つと、血餅の上を歯肉が覆うようになります。
  • やがて血餅は吸収され、1〜2ヶ月位で歯肉が盛り上がってきて治癒します。
 ※歯周病の進行で抜歯した場合は、歯肉の盛り上がりがかなり遅くなります。

<抜歯後の注意点>

●切り傷と違って、歯を抜いた後の穴は完全に塞ぐ(完全に縫い合わせる)事が出来ませんので、結構血がダラダラ流れ出てきます。
 血は歯が抜けた穴を満たして、やがて固まってゼリー状の血餅(けっぺい)を作り、傷の治癒を促進させて行きますが、血が出る事を気にし過ぎてブクブク強くウガイをしたり、血が混じったツバをペッ、ペッと吐くと、穴に貯まって固まろうとしている血を追い出してしまって、歯が抜けた穴を剥き出しにしてしまいます。
 下手をすると、穴の中の骨がむき出し状態(ドライソケット)になって骨が感染を起こしてしまいます。
ドバドバ溢れる出血は問題ですが、唾液に混じる程度の出血は翌日までありますので、あまり気にしないようにしましょう。

●抜いた後の穴を完全に塞ぐ事が出来ないので、あえて血行を良くして更に出血してしまうような事(運動する、お酒を飲む、熱いお風呂に長々と入る等)は絶対にしないで、安静にしていましょう。

●痛み止めは、完全に痛くなってからでは効きが遅い(発痛物質が出過ぎると痛み止めが効きにくい)ので、麻酔が切れかかって痛みが出そうだと思った時に早めに1回分飲んでおきましょう(今の薬は「早く飲んで痛みを抑える」です!)。

●腫れや化膿を防ぐ為に抗生物質が出ると思いますので、必ず無くなるまで飲み切ってください 少なくとも3日分出すと思いますが、1〜2日で中断すると炎症がぶり返して腫れや膿みがあとから出て来る事があります)。

●もし腫れが出たら、濡れタオルで冷やしてください。湿布やアイスノンでは冷え過ぎて痛みが増す場合があります(何事も程々!)。2〜3日後に腫れのピークが来ます。

●下の親知らずの抜歯では、1週間ぐらいまともに口が開かなくなるケースがあります。流動食的な食べ物を用意しておいた方が良いかも知れません。

●抜いた穴にご飯粒や食べカスが入り易いので、抜いた方に食べ物が行かないように(難しいけれど)気を付けてください。

●抜歯後2〜3日は、ウガイの時は水を口に含む程度に押さえて、歯磨きの時は抜いた近辺を触らないように気を付けてください。