【金管楽器奏者の方への提言1】

〜唇のストレッチングについて〜

 楽器演奏の前と後に、必ず唇のストレッチングをやりましょう!


 金管楽器の教則本は、近年かなりの数が出回っております。その中でも初級者向けの教則本には、呼吸器系のウォーミングアップについて書かれているものまで出てきました。
 私が中学生で吹奏楽部に入ってTubaを始めた時は、教則本といえば”ファーストディヴィジョン”くらいしか無かった事を思うと、今の情報量との差は言うに及びません。
 私も色々とTubaの教則本を漁りましたが、最近のはとっても親切ですよね!
 ただ、歯医者として一つ言わせてもらえれば、金管楽器における 唇のウォーミングアップについて記述の有る教則本がほとんど無いのが、とても残念です。

 金管楽器奏者の方自身が「金管楽器の発音を司るのは、唇(筋肉のかたまり:集合体)である」事をあまり重要視していないのでは?と思わずにいられません。

 なぜ重要視しなければいけないか、これから書きます。

 金管楽器は、自分の体の一部である唇という筋肉を振動させて音を発生させますが、唇の”硬い”とか”柔かい”ことでコンディションの違いを実体験していると思います。
 そしておそらく、”柔かい”唇の方が”硬い”唇よりコントローラブルで、かつ良い音が出る事も知っているはずです。
 では、なぜ唇のストレッチングを行わずにいきなりバズィングしてしまうのでしょうか。

 たとえば、陸上選手はストレッチングをせずにいきなりランニングを始めますか?
 筋肉は、良く揉みほぐして十分伸ばしてやってから使わないと、断裂や痙攣を起こしやすいのは、スポーツ界の常識です。

唇は別ですか?
唇も例外では無いはずです。

 私は、歯医者をしながら一般の音楽団体でTubaを吹いていましたので、殆ど週に1回しか楽器を吹く機会がありませんでしたが、唇のストレッチングを忘れていると”いい感じ”のコンディションをとり戻すのに1時間近く吹かなければなりませんでした。
 しかし、唇のストレッチングを先に行った場合は、吹き始めた最初から”いい感じの前兆”が得られます。

 「ウソだ!」と否定したい方は、否定する前に下記の方法でストレッチングをしてみてください。

@口を閉じたままホッペタに両手を当て、30秒間ホッペタをゆっくりグルグル回す(あまり力を入れない)
A閉じている口に手を当て(オホホの手)、唇を時計回りに30秒、反対回りに30秒、ゆっくりグルグル回す(あまり力を入れない)

 これで唇の眠っていた筋肉が目覚めるので、唇がより振動しやすい状態になります(まずやってみてください)。

 それともう一つ。
 練習後のバテた唇には筋疲労による乳酸の蓄積がある (ミオシンとアクチンをいっぱい滑走させるとATPを消費して乳酸が溜まる) ので、必ずクールダウン(これもスポーツ界の常識)を行ってください。
 やり方は、練習前のストレッチングと同じです(練習後のストレッチング)。

 唇の筋肉に乳酸が蓄積したままでは、翌日の練習に影響が出ます。

 ストレッチング(ウォーミングアップ&クールダウン)は、ある運動を行う前と後に十分筋肉を伸ばして柔かくし、故障や筋疲労を防ぐ為に行います。
 つまり唇に話しを戻すと、唇を振動させる前や後に行うのがウォーミングアップでありクールダウンで、それが唇のコンディションを整えるのに非常に有効な手段であると私は考えています。

 ロングトーンやリップスラーなどのいわゆる基礎練習は、スポーツで言うダッシュやサーキットトレーニングであると思います。
 スポーツでは、いきなりダッシュしたりサーキットトレーニングを始める人っていないですよね。

 どうですか?

 やっぱり唇のストレッチングって必要だと思いませんか?

 このストレッチング、方法は少し違いますが、老人の在宅看護でも取り入れられていて、老人の顔面機能の回復に、非常に良いようです。

  まずはマッサージしてみてください!!